スノースポーツは、冬の自然環境の中で行なわれるスポーツですから、基本的に天候や雪の状態、地形、他人の動向など、常に変化する状況を適切に判断しながら、いかに安全に行動するかということが大切なのです。 スキーやスノーポードのおもしろさのひとつに、スピードとスリルが挙げられます。しかし、先の見通しもないチャレンジは「無謀」というものです。 (日本スキー教程安全編p8)
損失(ロス)には人的損失や物的損失、経済的損失などが考えられます。 「リスク」とは単に「危険」ではなく、「損失が発生する可能性」を意味します。 ペリルは損失をもたらす直接的な原因、つまり事故そのものです。 ハザードは間接的要因です。 ハザードが絡み合ってペリルを発生させ、その結果ロスが生じます。 リスクを可能な限り低くするには、ペリルを起こさないこと。そのためにはハザードを除去したり、回避したり、改善したりすることが必要です。 (日本スキー教程安全編p11)
スキー場に雇用されるスキーパトロールのパトロール活動中の事故に関してリフト会社やスキー場経営者等雇用主の使用者責任(民法第715条)とされる場合が多いが、信義則上相当と認められる限度において、当事者責任(パトロール自身の危険回避義務)を問われる可能性もある。 (日本スキー教程安全編p18)
FISのセーフティルールは、世界共通のスキー場における安全マナーです。行勤規範を記入しなさい。 @他の人を尊重しましょう Aスキー・スノーボードのスピードコントロール Bルートの選択 C追い越し D進入・スタート・上方に移動するとき Eコース上での停止 F徒歩での登り降り Gサインやマークに従う(標識・表示) Hアシスタンス I確認・証明 (日本スキー教程安全編p19〜23)
ヘルメットについてのアドバイス 転倒や衝突時の頭部の保護だけでなく、頭部の温度差を(外気、内気温)一定に保つ役割がより大切になります。軽量で、耳は覆うが聴覚を妨げないもの、また、頭部のベンチレーター(通気口)のあるものがおすすめです。 (日本スキー教程安全編p28)
子どもと索道 キッズ・ジュニアのようにスキー操作が不十分で体型の小柄なスキーヤー・スノーボーダーが乗車するリフトの関係者は特別の配慮が必要です。 例えば減速調整や雪面と搬器の高さ調整など細かな点でもコントロールが求められ、それらを怠ることで大きな事故やケガに結びつくことにもなります。とくに、運転室はもちろんのこと中間降り場や降り場での監視体制は重要であり、それを怠ることは重大な事故にもつながります。 とくに国内スキー場では室内での監視が多く、瞬時の対応が間に合わない場面が見受けられます。子どもがひとりでも安心して乗車できる環境を索道関係者も一緒になって考えていきたいものです。 (日本スキー教程安全編p30〜31)
S-B-Bシステムとは、アルペン用のスキー板・バインディング・ブーツのそれぞれを構成部品と見ることによって、そのトータルで安全を確保しようとするものです。 スキー板とバインディングを確実に固定すること ブーツとバインディングが確実に固定されること バインディングがそれぞれのトルク値に応じて適正に解放すること。 スキーヤーの特性に応じたバインディングの適正な開放値の選択方法に大別され、詳細に規定されています。 (日本スキー教程安全編p34)
スキーヤー自身の「安全・安心のための原則」は「スキーヤー自身が危険を避ける判断をすること」、「他人を傷つけないように行動すること」です。 (日本スキー教程安全編p40)
スキーパトロールの任務は「事故を未然に防止すること」と「事故に対する対応」です。 事故を未然に防止するために、始業点検、巡視と観察、安全マナーの指導を行います。 スキー事故の直接的原因は、スキー場の「不安全な状態」と、スキーヤーの「不安全な行動」により発生すると考えられています。 (日本スキー教程安全編p43)
スキーパトロールは安全・安心なスノースポーツ環境にスキーヤーを誘う「マイスター」であるべきであり、スキーヤーに信頼される存在感こそが大切なのです。 (日本スキー教程安全編p43)
事故現場の特徴 @雪上である A斜面である B気象変化が早い C二次事故の危険にさらされている D道具を身につけている E衣類が厚く、露出部分が少ない F活動エネルギーが大きい G搬送のための人と道具が必要 (日本スキー教程安全編p43)
衝突による事故に立ち会った場合は、状況を的確に掌握することに努めるとともに、次について客観的な事実のみを要領よく記録します。 事故者の状況 (双方の指名、住所、連絡先、宿泊先、技術程度) 発生の状況 (時刻、発生場所、原因) 現場の状況 (ピステの状況、気象の状況) 傷病者の状況 (傷害の部位、傷害の種類と程度) 用具の状況 (自分のもの、レンタル、バインディング解放の有無) 処置の状況 (使用機材、搬送の経路、担当者) 報告の状況 (重大事故の直接・間接的内容など) その他 (改善など必要思われたことなど) 記入者の氏名 (パトロール本人) (日本スキー教程安全編p48)
スキーパトロール隊に求められている機動力とは、隊員の知識と技術と経験です。 (日本スキー教程安全編p49)
プルークポジションでのスキー操作は、両スキーの開きだし角度を調節することにより制動しやすく、たやすく回転することができる。 (日本スキー教程安全編p50) 片開きブルークは、プルークポジションから、いずれか一方のスキーの迎え角(開きだし)を大きくしてスピードコントロールする技術である。 (日本スキー教程安全編p50〜51)
結び方の種類には、それぞれに適した用途があります。数ある結び方の中から、目的に合ったものを選択しロープの「素材」や「強度」「長さ」に合わせて最適なものを選択する必要があります。 (日本スキー教程安全編p56)
特徴、用途等を記せ 腰掛結び 二つの輪は同じ大きさで変化しない。輪を真下方向に引っ張るほど強度を増す。救助現場などで役立つ。 二重もやい 二重にしたロープの輸を一本ずつ使用した二点確保、折って引き抜いた輪を長めにして利用すれば、救助作業時にロープにぶらさがりながら、カラビナを通す支点が確保できるなど重宝な結び。 もやい結び 簡単に手早く結べ、水に濡れてもときやすい。固定されたフックなどの支点として使用される。引っ張っても輪の大きさが変化しない。手首を絞めることもなく、カラビナなどに装着して牽引に使用する。ワイヤーなどの結束に使われる ちょう結び 左右を引き止めたロープの中間に輪を作る。解きやすく輪が縮まない。懸垂したロープに蝶結びの輪をいくつか作り、手足を通して登攀に使用される 本結び ロープ同士を繋ぐ基本的結び方。材質の違うロープや太さが違うロープを結ぶには不向き。片方のロープ末端を反対側に強く引くと一方の輪が反って、引いたロープがストレートになる。 (日本スキー教程安全編p58〜63)
パトロールの活動形態には以下のような例がある。 スキー場の安全管理者(リスクマネジメント担当)として勤務 スキー場社員(常勤あるいは非常勤)として、スキー場安全管理に携わる 週末や休日にボランティアスキーパトロールとして活動 山岳ガイド・ツアーガイド・インタープリターとして活動 所属スキークラブのツアーなどで、安全なスキーのマナーやルールを指導 (日本スキー教程安全編p65)
標識が設置されていたり、ネットやロープが張ってあったりする場所は、その先は危険であることのサインでありメッセージです。 (日本スキー教程安全編p67)
スキーは日常生活よりも活動エネルギーが大きいため、急性の外傷(injury)や慢性の障害(disorder)ともに頻度も程度も大きくなります。 外傷はスキーヤー自身と、スキー場としての環境、用具などの条件を「安全のために整える」ことでかなり予防できます。 (日本スキー教程安全編p83)
FISでは、アルペン種目においてはCE EN1077規格品のみ使用を認めています。SAJはFISに準じています。 CE EN1077または、ASTM F2040の規格品を使用してください。 (オフィシャルブック2012 p87)
骨格筋は、筋細線維に横縞模様(横紋)がみられる横紋筋で、体重の30%を含めます。 (日本スキー教程安全編p76) 大腿前面には膝を伸ばし、股関節を屈曲(大腿を前に上げる)する大腿伸筋群である大体四等筋があります。 下腿後面には下腿伸筋群があり、足関節を底屈しています(下へ曲げる)。脾腹筋とヒラメ筋とを合わせて下腿三頭筋と呼び、合流してアキレス腱となって踵骨に付いています。 (日本スキー教程安全編p77) 脳は頭蓋骨の中では外側から順に、硬膜・くも膜・軟膜の3層の膜に包まれています。 くも膜と軟膜の間は「くも膜下腔」と呼んで脳脊髄液という透明な液で満たされています。 (日本スキー教程安全編p78) 人体を循環している血液の量は、体重の1/13または8%と言われ、この1/3を短時間で失うと出血死してしまいます。 血液循環には大きく2つの血管系があります。肺循環(小循環)と体循環(大循環)です。 (日本スキー教程安全編p79) 体表から拍動の触れる動脈は、脈拍の確認と、抹消から出血したときに止血のために指で圧迫するポイントとして大切である。(日本スキー教程安全編p80) 意識障害・気道閉塞・呼吸停止・心停止・大出血などの傷病者は、発見した者がただちに手当をしないと生命に関わります。 (日本スキー教程安全編p82) 一度に多数の傷病者が発生したときは、傷病の緊急度・重症度によって傷病者を選別し、処置の優先度を決定(トリアージ)します。 (日本スキー教程安全編p82) 強い外力が加わり、関節面相互の位置関係が完全に失われる状態が脱臼、一部接触している状態が亜脱臼、位置関係が正常に戻り関節包や支持組織が損傷を受けている状態が捻挫です。 (日本スキー教程安全編p84) 骨折の局所症状は、疼痛、機能障害、変形、軋轢音(コツコツ音)、異常可動性、皮下出血。 (日本スキー教程安全編p85) 急性外傷には、安静(Rest)、冷却(Icing)、圧迫(Compression)、挙上(Elevation)に固定(Stabilisation)を加えRICES処置が提唱されています。 実際に現場で処置を行う場合は、順序としてSから先に行い、次いでI、C、E、Rとしたほうが傷病者の痛みは少ないです。 (日本スキー教程安全編p86) BLS(一次救命処置)とは、非医療従事者である救助者が実施する呼吸と循環をサポートする一連の処置です。BLSには胸骨圧迫と人工呼吸による心肺蘇生とAEDが含まれます。 (日本スキー教程安全編p87)
救命の連鎖 アメリカ心臓協会の提唱する「ECCによる成人の救命の連鎖」は以下のとおり。 心停止の即時の認識と救急対応システムへの迅速な出動要請(119番) 胸骨圧迫に重点を置いた迅速なCPR(心肺蘇生) 迅速な除細動(AED) 効果的な二次救命医療 心停止後ケアの統合 (日本スキー教程安全編p90)
小児のCPRにおいては、準備ができしだい早急に人工呼吸を開始します。 救助者は、少なくとも胸骨圧迫のみのCPRを施行すべきです。 (日本スキー教程安全編p91)
BLSとはBasic Life Supportのことである。そのアルゴリズムは 素早く反応の確認と救急通報 反応がなければ、周囲の注意を喚起し、救急通報(119番)とAEDの手配を依頼します 気道異物による窒息では異物除去を試みる CPRの開始と胸骨圧迫 CPRの手順における変更はA-B-CでなくC-A-B 換気の前にまず胸骨圧迫を開始します。 気道確保と人工呼吸 人工呼吸ができる場合は、胸骨圧迫と人工呼吸を30:2の比で行います。 AED(自動体外式除細動器) 一次救命処置の継続 (日本スキー教程安全編p88〜90)
人間の脳は呼吸が止まってから4〜6分で低酸素による不可逆的な状態に陥ります。2分以内に心肺蘇生が開始された場合の救命率は90%軽度ですが、4分では50%、5分では25%程度になります。 (日本スキー教程安全編p91) 脳震盪は、一時的な症状で、完全に回復すると思われていますが、脳震盪症状が改善しないうちに、脳に同じような衝撃を受けると、重篤な状態に陥ることや、また繰り返すことによりダメージが蓄積して、重大な脳機能障害を起こしたり、重大な障害を残すことがあります。 (日本スキー教程安全編p93) 頚部の脊髄レベル(頚髄)での損傷は、四肢麻痺を、胸髄レベル以下での損傷では、対麻痺を生じます。 (日本スキー教程安全編p94) 前腕骨骨折の多くは、撓骨遠位端骨折で通常コーレス骨折と呼ばれていて、骨折部の変形はディーナーフォーク状変形と呼ばれる独特の変形を呈していることが多く見られます。 (日本スキー教程安全編p95)
体温が35℃以下になると現れるシバリングは、筋肉が収縮して熱を産生している反応で、酸素を大量に消費するので、呼吸も激しくなります。体温が33℃以下になると意識が朦朧としてきて、体温が30℃以下になると、呼びかけに反応しなくなり、シバリングは止まり、筋肉は硬直し、呼吸も浅く弱くなります。 30℃以下では、致命的な不整脈である心室細動が発生しやすくなり、極めて危険な状態です。 (日本スキー教程安全編p100)
索道からの旅客救助にあたっては、索道の構造、線路下の状況や気象条件などを把握し、その場に適した救助装置を選択しなければなりませんし、救助作業を行う者は、救助計画の理解と、救助装置の使用に習熟するための訓練を必要とします。 とくに、気象条件が関与する停止の場合、旅客は恐怖心や寒冷の影響でショック症状に陥る場合もあるので、保温のための器材を多めに準備することが大切です。 (日本スキー教程安全編p106)
バックカントリースキー、スノーボードでは、雪崩に埋まった遭難者の捜索に使用する「雪崩ビーコン」と、埋没している遭難者を発見する「プローブ(ゾンデ棒)」、遭難者を掘り起こすときに使用する「シャベル」を必携の装備として、「バックカントリーの3種の神器」と呼んでいます。 (日本スキー教程安全編p112)
2万5千分の1図では、標高10mごとに主曲線が引かれています。その間隔が2mmなら、実際には50mで10mの高さになり、傾斜は約11°となります。 (日本スキー教程安全編p121) 複数の人工衛星からの電波を利用したGPS(携帯用のナビゲーションシステム)は、最近精度がよくなり誤差も数メートルで、現在地を知るには頼りになります。 (日本スキー教程安全編p123) 天候の急変、ルートの喪失、メンバーの体調の悪化等で、行動が困難化危険と判断したとき、緊急に露営しなければなりません。このことをフォースト・ビバークといいます。フォースト・ビバークをしなければならない状況になるということは、行動計画の失敗を意味します。 (日本スキー教程安全編p126) 雪庇とは、稜線の風下側に張り出す雪の庇(ひさし)のことである。 (日本スキー教程安全編p129) 雪崩の分類について、わが国では日本雪氷学会による分類法を用いています。この分類では発生形態に着目して、大きく表層雪崩、全層雪崩、氷雪崩の3つに分けています。 (日本スキー教程安全編p130)
雪崩事故の予防 状況を知る 予感を重視する 行動は小バーティーで 激しい降雪中と、その直後1日間の行動を避ける 風下側の吹き溜まりや、雪庇の下は注意する スリ鉢状の地形はデブリが集積しやすいのでとくに注意する 風上又は風下側の堅雪、しまり雪に注意する 歩行中、雪の感触に注意する 積雪の安定テストをする (日本スキー教程安全編p134)
捜索者の行動 ビーコンを操作モード(受信状態)にする 全員でパトロールする デブリを彫る・刺す 目印を付ける(順不同) 雪崩に巻き込まれた地点 メンバーを見失った地点 用具、衣服、所持品の発見された地点 自己脱出、救助された地点 デブリの地点 (日本スキー教程安全編p136)
公認スキーパトロール検定受検資格を記せ 全日本スキー連盟登録会員 級別テスト1級以上 赤十字救急員認定証又は赤十字雪上安全法救助員T以上の認定証の交付を受けているか、医師・看護し又は、救急救命士の資格を有する 受検する年度の4月1日現在、20歳以上 加盟団体が実施するスキーパトロール養成講習会を受講し、修了証の交付を受けている (教育本部オフィシャルブック2012 P73)
スキー実技テストを記せ 基礎種目テスト(順不同) ブルータボーゲン シュテムターン パラレルターン 片開きブルーク フリー滑降 搬送種目テスト(順不同) 浅まわり操作 深まわり操作 真下切り換え操作 (教育本部オフィシャルブック2012 P75〜76)
出題範囲並びにロープ操法テスト及び救急法実技については原則の種目数を記せ 理論テスト(順不同) 日本スキー教程安全編 教育本部オフィシャルブック ロープ操法テスト 日本スキー教程安全編に示すロープワークの中から8種目 救急法実技 日本赤十字社救急法教本の中から8種目 (教育本部オフィシャルブック2012 P75〜76) |